会長挨拶

 2023年4月28日(金)から3日間、第63回日本呼吸器学会学術講演会を東京国際フォーラムで開催させていただきます。現時点では現地開催を基本としてCOVID-19の流行状況に応じてオンライン、オンディマンド配信を取り入れていきます。また、SDGsとエコに配慮した学術講演会を目指します。日本呼吸器学会は会員数13,000人を超える日本最大の呼吸器関連学会であり、本会の会長を担当させていただくことは大変に光栄であるとともにその責任の重さを実感しております。本学会の会員は2020年初頭から2年以上に渡って未曾有の感染症であるCOVID-19との戦いの中心的役割を担いながらも、しっかりと診療、教育、学術的活動を遂行してきました。高齢者に多い呼吸器疾患を対象とする本学会の役割は大きく、学術的および社会的活動の成果を通じて社会貢献することが求められます。そのため今回の学術講演会のテーマを「知の融合が拓く呼吸器病学の未来」としました。呼吸器疾患は、腫瘍性疾患、アレルギー疾患、閉塞性肺疾患、呼吸循環障害、呼吸器感染症、びまん性肺疾患など多岐に渡り、各領域の研究成果を迅速に社会還元するためには、各研究者がコミュニケーションをとりそれぞれの研究成果を統合(Unify)する必要があります。COVID-19の流行拡大で様々な学術活動が制限されたのは事実ですが、オンライン診療・カンファレンス・講義などITの診療、研究、教育への導入が加速度的に進みました。また、IT, AIを活用した診療、研究が当たり前の時代になりました。学術講演会で研究成果の情報交換、情報共有をすることで「知の融合」が実現し社会実装が加速度的に進むことを期待します。また、本会を通じて「呼吸器病学の未来」を討論したいと思います。基調講演ではジャーナリストでありリベラルアーツをご専門とする池上彰先生に、未来の医療やCOVID-19後の世界についてご講演をお願いしました。また、招請講演として、国内からは、今後のCOVID-19の疫学的動向について京都大学の西浦博教授、がん研究updateと未来について藤田医科大学の佐谷秀行教授(日本癌学会理事長)にそれぞれご講演いただきます。また、海外からはIASLC理事長であるスタンフォード大学のHeather Wakelee教授に最新の肺癌臨床研究、National Jewish HealthのIrina Petrache教授にCOPD研究の最前線についてお話していただくことになっています。また、会長特別企画として、呼吸器希少疾患・難病に関するシンポジウム、若手企画シンポジウム、これからのCOVID-19など数多くの魅力的プログラムを予定しています。

 順天堂大学がお世話させていただく学術講演会は、第19回(昭和54年)故本間日臣教授、第34回(平成6年)故吉良枝郎教授、第41回(平成13年)福地義之助教授に引き続き今回で4回目となります。医局員一同、学術講演会の成功のため最大限の努力をしてまいります。皆様におかれましては、是非、多数の演題ご応募と学会へのご参加をお願い申し上げます。

第63回日本呼吸器学会学術講演会 会長
順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学 主任教授
順天堂医院 院長
髙橋和久