呼吸器Q&A
Q21. 声が嗄れました。
どのような原因で声が嗄れるのですか?
のどの奥にある声帯を振動させて声を出しますが、声帯に異常が起こると「かすれた声」になります。この状態を嗄声(させい)と言います。嗄声の原因は声帯自体に問題がある場合と、声帯を動かす神経に問題がある場合があります。
「反回神経麻痺(はんかいしんけいまひ)」とはどんな病気ですか?
反回神経は声帯の動きを支配していて、麻痺すると声帯が動かなくなり、嗄声や誤嚥(誤って気管に水や食物が入ること)が起こります。喉頭麻痺(こうとうまひ)、声帯麻痺(せいたいまひ)と言う場合もあります。
この神経は耳の穴の少し下の辺りから出てきますが、まっすぐ声帯まで行きません。右側の神経は首の付け根の辺りまで下がってから、反転して声帯に向かいます。左側の神経は胸部大動脈(きょうぶだいどうみゃく)の近くまで下行してから左の声帯まで上がってきます。このため、左の反回神経は、大動脈周囲の腫瘍(肺がん、食道がんなど)や胸部大動脈瘤(きょうぶだいどうみゃくりゅう)などが原因で麻痺することがあります。
また、頸部や胸部の手術、外傷による神経損傷などが原因となる場合もあります。
声が嗄れたらどうすれば良いのですか?
大きな声を出した後や風邪に伴う嗄声で、一時的な場合は心配いりません。他にあきらかな原因がなく嗄声が続く時は耳鼻咽喉科を受診して下さい。耳鼻咽喉科領域の疾患による場合は担当医の指示に従って下さい。反回神経麻痺による場合は、呼吸器科、循環器科などで精密検査が必要になる場合があります。気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療で吸入ステロイド薬を使用している場合、副作用で嗄声が起きる場合がありますが薬剤の変更や中止で改善します。主治医に相談して下さい。
また、突然嗄声が出現し激しい胸痛や呼吸困難などを伴っている時は、緊急の場合があるため直ちに近くの医療機関を受診して下さい。