活動・取り組み
日本人の肺拡散能基準値に関するステートメント
2023年、日本呼吸器学会肺生理専門委員会が中心となり、日本人の新しい肺拡散能の基準値を報告しました(JRS 2023)1)。
新しい基準値は、近年の日本人の体格の変化に適応することと、LMS法による基準値計算が呼吸機能基準値として国内外で一般化したため、肺拡散能においてLMS法による基準値を提示したものであります。
JRS 2023、global function lung initiative(GLI)による予測式、ならびに過去の線形回帰モデルを用いた予測式におけるmean square errorsは、JRS 2023で最も小さく、予測能の高さが示されています。今後、学術活動をはじめ、臨床の現場で活用されることを期待します。
LMS法は、人間の各種臓器の大きさのように平均値を中心とした正規分布を取らない計測値を集計して、正常値を非線形曲線で得る方法です。このため、得られる理論正常値はより実態に沿うことになりますが、一方で非線形曲線を記述するために数値表を参照する必要があります。
つきましては、新しい基準値の計算用Excel fileをご案内いたします。16歳から85歳の範囲で年齢、性別、身長を入力しますと基準値、基準値範囲、およびZ-scoreが表示されますのでご活用ください。
文献
- Hanaoka M, Wada Y, Goto N, Kitaguchi Y, Koarai A, Kubota M, Oyamada Y, Koto H, the Clinical Pulmonary Functions Committee of the Japanese Respiratory Society. Referential equations for pulmonary diffusing capacity generated from the Japanese population using the Lambda, Mu, or Sigma method and their comparisons with prior referential equations. Respir Investig. 2023;61:687-697.
Excel file 内容
学術的に、複数症例のデータを保存されたい先生のため作成した、入力リセット・転記ボタンのあるファイル(マクロ有効化シート)と、ボタンのないエクセルファイル(マクロなし)がございます。使いやすい方をご利用ください。
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- 肺拡散能基準値・基準値範囲予測式
- 基準値・基準値範囲算出用スプライン一覧
- 基準値・基準値範囲計算用シート