会長挨拶

第53回日本呼吸器学会学術講演会の開催にあたって
―呼吸器病学のニューパラダイム―

第53回日本呼吸器学会学術講演会 会長 京都大学大学院医学研究科内科学講座呼吸器内科学 教授 三嶋 理晃

 第53回日本呼吸器学会学術講演会を開催させていただきます、京都大学大学院医学研究科内科学講座呼吸器内科学の三嶋理晃でございます。一言ご挨拶申し上げます。
 初めに、東日本大震災で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。震災から1年以上経過した現在でも、まだその傷は癒えておりません。皆様のご苦労には計り知れないものがあると存じますが、今後の速やかな復興を祈念いたします。また、震災地で懸命に医療に携わっておられる多くの日本呼吸器学会員の方々に、深い敬意を表します。今回の講演会では、ATS・ERS・APSRからの推薦演者を交えたInternational Symposiumの1つとして、「世界の様々な災害と呼吸器疾患」を用意しています。この未曾有の大震災の経験を決して風化させてはならないという日本呼吸器学会の決意を示すものです。
 今回のメインテーマは「呼吸器病学のニューパラダイム」といたしました。呼吸器病学は1980年台初頭までは、生理学に代表される臓器生物学が牽引者の役割を果たしてきました。その後、分子生物学が時代を席巻するようになりました。しかし、21世紀になって、分子細胞レベルの新しい知見が臓器・個体にどのように影響を与えているのかを見極めることが重要であると考えられるようになりました。分析的生物学から、集積的生物学(Integral Biology)へのパラダイムシフトであります。この講演会においては、その新しいパラダイムから生み出された様々な成果を集約して、呼吸器病学の未来への飛躍を期したいという熱い思いがあります。
 基調講演はプロスタノイド研究の第1人者であられる成宮周先生にお願いし、医学の最重要課題の1つである「炎症制御」の最先端を御講演いただきます。特別講演は海外3人、国内3人の先生方にお願いすることにしました。Qutayba Hamid先生には「閉塞性肺疾患」、Talmadge E. King, Jr.先生には「間質性肺炎」の病態と治療のUPDATEをお願いしています。Bela Suki先生には「呼吸器疾患における肺の構造・機能連関の重要性」をお話ししていただきます。中田光先生には「肺胞蛋白症・LAM」、興梠博次先生には「気管支喘息」、村田喜代史先生には「肺のHRCT」の最新の話題を御講演いだきます。その他、シンポジウム、ガイドラインセッション、教育講演など様々なすばらしいプログラムを予定しています。「比較生物学に学ぶ“いのち”の尊さ」と題した公開講演会では、桑平一郎先生に「低酸素環境をいかに生き抜くかー鳥や恐竜、K2登山隊、潜水哺乳類に学ぶ」、石松惇先生に「海と陸地の狭間に住む魚たち―有明海の干潟に住むトビハゼとムツゴロウを中心に」、松沢哲郎先生に「想像するちから―チンパンジーが教えてくれた人間の心―」を御講演いただき、市民と学会参加者の両方が参加できるようにいたします。
 呼吸器科医師の需要は増大の一途をたどっており、会員の増加が日本呼吸器学会の至上命題です。日本呼吸器学会では、他の学会に先駆けて学会運営システムの完全電子化を年内に実現させます。これにより、コンビニエンスストアでの会費納入、代議員の電子投票、会員同士の情報交換などが可能になり、魅力のある学会の構築を促進すると期待されています。今回の学術集会は、このような学会の指向性を象徴する卓越した内容を持つものと自負いたします。皆様におかれましては、多数の演題御応募と学会御参加をお願いしてご挨拶とさせていただきます。

第53回日本呼吸器学会学術講演会 会長
京都大学大学院医学研究科内科学講座呼吸器内科学 教授
三嶋 理晃

会長所属機関
京都大学大学院医学研究科内科学講座呼吸器内科学 教授
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町53
TEL075-751-3850(代表)
http://www.kukonai.com/

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