COVID-19 FAQ広場

FAQ広場は、新型コロナウイルス感染症に関する情報交換を目的としており、呼吸器学会員をはじめ医療従事者の方々に幅広くご利用いただきたいと思います。

Q37. SARS-CoV-2変異株の診断に抗原キットを用いた、従来株の診断と比較して感度・特異度が劣るのでしょうか?

変異株

回答

多くの抗原検査が対象としている抗原はNucleocapsid proteinです。一方、問題となっている変異株はSpike proteinの変異なので、タンパクが異なります。したがって、Spike proteinの変異株に対して感度や特異度が低下することはあまり考えられません(Nucleocapsid proteinは変異が生じにくいタンパクであると言われています)。実際、新型コロナウイルス抗原検査の一つである「ルミパルス抗原定量検査(富士レビオ)」をPCRと比較検討した研究報告では、4266株(陽性検体503(そのうち変異株(英国株:VOC202012/01、138株を含む))が検討され、変異株の検出率は従来株と比較して遜色ない結果が報告されています(Caputo V, et al. Comparative analysis of antigen and molecular tests for the detection of Sars-CoV-2 and related variants: A study on 4266 samples. Intern J Infect Dis, 2021(108), 187-189.)。一方、各社の抗原検査に使用される抗体や検出方法は異なりますので、その精度はキット毎の評価を待つ必要があります。また、今後出現するSpike proteinの変異株にNucleocapsid proteinの変異を伴えば影響がでる可能性もあると考えます。

(回答日:2021/6/22)