COVID-19 FAQ広場

FAQ広場は、新型コロナウイルス感染症に関する情報交換を目的としており、呼吸器学会員をはじめ医療従事者の方々に幅広くご利用いただきたいと思います。

Q31. SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種による免疫原性、抗体産生のメカニズムを教えてください。

ワクチン

回答

SARS-CoV-2のmRNAは、人体や環境中のRNA分解酵素で簡単に破壊されるため、脂質ナノ粒子で包まれカプセル化されています。mRNAワクチンは筋肉内注射で投与されますが、筋肉細胞や樹状細胞の中でmRNAをもとに生成されたタンパク質がリンパ球に提示され、免疫応答が起こります。ワクチンを接種すると、脂質ナノ粒子に封入されたSARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質を符号化するmRNAが体内に入り、リボゾーム内でタンパク質に翻訳されます。このタンパク質はMHCクラスIタンパク質として細胞表面に出現し、CD8+ T細胞により認識され、細胞媒介免疫を誘発します。一方、細胞外部のスパイクタンパク質は別の免疫細胞により分解され、MHCクラスIIタンパク質として細胞表面に現れ、CD4+ T細胞により認識されてB細胞が抗原特異的な抗体を産生します。また、mRNA自体が自然免疫を刺激する働きもあり、mRNAを取り込んだ体内の抗原提示細胞が所属リンパ節に輸送され、CD4+ T細胞をTh1細胞やTfh細胞に分化させ、記憶B細胞の産生に繋がります。

参考資料:


Bettini E, et al. SARS-CoV-2 mRNA Vaccines: Immunological Mechanism and Beyond. Vaccines. 2021;9(2):147.

(回答日:2021/6/15)