COVID-19 FAQ広場

FAQ広場は、新型コロナウイルス感染症に関する情報交換を目的としており、呼吸器学会員をはじめ医療従事者の方々に幅広くご利用いただきたいと思います。

Q70. COVID-19後遺症の呼吸器症状(長く続く咳嗽や呼吸困難など)に対して、有効な治療法があれば、おしえてください。

後遺症

回答

COVID-19の呼吸器罹患後症状に特異的な治療はないため、一般呼吸器診療でよく遭遇する長引く咳や呼吸困難の対応に準じることとなります。基本的には、まずCOVID-19肺炎の残存の有無、気管支喘息、肺血栓塞栓症、心不全、感染に伴う器質化肺炎、気胸・縦郭気腫などの原因の鑑別を行い、治療しうる病態・疾患を見つけることが重要です。
咳に関しては8週間未満であれば感染後咳嗽と考えられ対症療法で徐々に改善しますが、それ以上の場合は気管支喘息、咳喘息、後鼻漏、GERDなどを検査で鑑別し、疾患ごとに治療を行います。(咳嗽に関するガイドライン第2版 編集 日本呼吸器学会参照)
呼吸困難に関しても基本的な対応は同様です。日本呼吸器学会が行ったCOVID-19後遺症に関する実態調査(中等症以上対象)では退院後3か月の時点で約30.2%が呼吸困難を自覚されていましたが、12か月時点では6%まで低下していました。呼吸困難は重症度が高いほど出やすく肺機能拡散能も低下していましたが、早期からの運動・呼吸リハビリテーションでDLCOや6分間歩行距離が改善するという報告(Liu K, et al. Complement Ther Clin Pract 2020 ; 39 : 101166.)もあるため、呼吸困難を自覚している重症度が高い患者や高齢者ではリハビリテーションを検討すべきです。
治療法ではありませんが、ワクチン接種でCOVID-19罹患後症状が改善するというデータも悪化したというデータもあります。ワクチン接種で改善する症状と増悪する症状があるということもわかってきました。英国からの大規模観察コホート研究では呼吸困難に関してはワクチン接種で症状が改善する傾向にあることが示されましたが、観察研究であり因果関係の証明は困難でさらなる検討が必要です。(Ayoubkhani D, et al. BMJ 2022;377:e069676) 

(回答日:2022/9/14)