COVID-19 FAQ広場

FAQ広場は、新型コロナウイルス感染症に関する情報交換を目的としており、呼吸器学会員をはじめ医療従事者の方々に幅広くご利用いただきたいと思います。

Q68. COVID-19罹患後、抗ウイルス薬治療後に再燃する症例では、免疫不全者以外にどのような特徴があるでしょうか。また、再燃時の隔離基準についておしえてください。

感染管理

回答

国立感染症研究所感染症疫学センター「発症からの感染可能期間と再陽性症例における感染性・二次感染リスクに関するエビデンスのまとめ」(2021年2月18日)によると、軽症や中等症においては再燃した場合でも、ウイルス培養の陽性化(感染性の再燃)や二次感染を生じたという報告はなく、感染性のあるウイルスが残存している可能性は低いとされています(参考資料1、2)。しかし、ご指摘通り免疫不全者はもちろん、重症者でも感染性ウイルスの排泄が長引く可能性が示唆されています(参考資料3、4)。30名の免疫不全者を含む129名の重症入院患者での検討によると、気道検体の培養からの感染性ウイルスの分離期間中央値は発症後8日(四分位範囲:5-11、範囲:0-20日)であり、発症15.2日で5%に低下したとの報告があるようです(参考資料5)。
重傷者や免疫不全者に対する米国疾病管理センター(CDC)および欧州CDC(ECDC)の検査によらない基準では、
【CDC】
○重症患者および免疫不全の患者では発症してから最大20日、 隔離期間と感染対策を延⻑する必要がある。
【ECDC】
○重症:少なくとも72時間の解熱と、発熱以外の症状の臨床的改善かつ発症後14日以上20日以内。
○免疫不全:少なくとも72時間の解熱と、発熱以外の症状の臨床的改善かつ発症後20日以上経過していること。
となり、本邦でも、症状が現れてから少なくとも20日間経過しており、かつ解熱剤を使用せずに前回の発熱から72時間以上経過しており、かつ症状(咳、息切れなど)が改善された場合、隔離を解除することが一般的な基準です。しかし重症者や免疫不全者で再燃した場合、隔離解除をどうするかは明確な基準がないのが現状です。エビデンスはありませんが、当院では、発症後20日経過したらPCR検査を施行し、2回連続陰性であれば隔離解除として対応し、陽性であればその後も引き続き検査を施行しています。

参考資料

1. Korea Disease Control and Prevention Agency. Findings from investigation and analysis of re-positive cases. 5/19/2020.
http://www.kdca.go.kr/board/board.es?mid=&bid=0030&act=view&list_no=367267&nPage=41(2020/12/16閲覧)
2. Lu J, Peng J, Xiong Q, et al. Clinical, immunological and virological characterization of COVID-19 patients that test re-positive for SARS-CoV-2 by RT-PCR.EBioMedicine. 2020;59:102960. doi:10.1016/j.ebiom.2020.102960
3. World Health Organization. Criteria for releasing COVID-19 patients from isolation. 2020/6/17.
https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/criteria-for-releasing-covid-19-patients-from-isolation/ (2020/12/16閲覧)
4. Centers for Disease Control and Prevention. Duration of Isolation and Precautions for Adults with COVID-19. 10/19/2020.
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/hcp/duration-isolation.html(2020/12/16閲覧)
5. van Kampen JJ, van de Vijver DA, Fraaij PL, et al. Duration and key determinants of infectious virus shedding in hospitalized patients with coronavirus disease-2019 (COVID-19). Nature Communications. 2020. doi: 1038/s41467-020-20568-4

(回答日:2022/9/21)