呼吸器の病気

I.その他

肺移植

はいいしょく


 肺移植とは、重い肺の病気を持つ患者さんに行われる治療です。自分の病気の肺を取り出し、その替わりに提供者(ドナー)の新しい肺を移植する治療法です。他に有効な治療法がなく、生命の危険が迫っていて(2年生存率が50%以下)、肺移植によって元気になることが見込まれる場合に行われます。脳死肺移植と生体肺移植の2種類があり、手術の種類としては両肺移植と片肺移植があります。

 肺移植は我が国では1998年から実施され、2024年末時点で累計数は1315例(脳死肺移植1001例、生体肺移植311例、心肺同時移植3例)です(図1)。2024年1年間では、148例の肺移植が実施されました。症例数の多い適応疾患は、間質性肺炎、肺高血圧症、移植後肺障害、気管支拡張症・気道疾患、肺気腫、リンパ脈管筋腫症などとなっています。肺移植を受けた患者の5年、10年生存率は、脳死肺移植の場合、各々72.23%、59.92%、生体肺移植の場合、各々72.20%、59.44%となっています(図2)。2010年7月17日に改正臓器移植法が施行され、ドナー本人の書面による意思表示がない場合でもドナー家族が同意する場合には脳死下臓器提供が可能となり、脳死臓器移植数は増加傾向にあります。

 なお、肺移植の詳細については、日本移植学会のホームページ https://www.asas.or.jp/jst/general/qa/lungs/ や日本肺及び心肺移植研究会のホームページ https://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/surg/shinpai/brochure/ https://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/surg/shinpai/registry/ をご参照ください。

(2025年8月)

図1 肺移植症例の年次推移

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日本肺および心肺移植研究会レジストリーレポートから引用
https://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/surg/shinpai/registry/

図2 術式別生存率(2024年末現在)

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日本肺および心肺移植研究会レジストリーレポートから引用
https://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/surg/shinpai/registry/