呼吸器の病気

I.その他

職業性肺疾患

しょくぎょうせいはいしっかん


 仕事の作業中に有害な粉じん、アレルゲン、化学物質、環境汚染物質などを吸入することで生じる呼吸器疾患のことを職業性肺疾患といいます。

 じん肺(表1)と職業性喘息がよく知られています。じん肺の罹患率は職場のばく露対策の普及や石綿の全面使用禁止などに伴い昭和50年をピークに減少傾向にあります。

表1 主なじん肺の原因物質
原因物質 病名 代表的な発生職場
シリカ(石英) 遊離ケイ酸 珪肺 鉱山、隧道工事、窯業
アスベスト(石綿) ケイ酸化合物 石綿肺 石綿吹き付け、建設業
滑石(タルク) ケイ酸化合物 滑石(タルク)肺 採石場、ゴム製造
珪藻土 ケイ酸化合物 珪藻土肺 珪藻土工場
セメント ケイ酸化合物 セメント肺 建設業
アルミニウム アルミニウム アルミニウム肺 アルミニウム粉末製造
酸化鉄とケイ酸 鉄化合物 溶接工肺 電気溶接、ガス切断
黒鉛 炭素 黒鉛肺 黒鉛精錬、電極製造
カーボンブラック 炭素 炭素肺 製墨、カーボンブラック製造
石炭粉じんとケイ酸 炭素 炭鉱夫肺 炭鉱

 珪肺症はシリカ(石英)の粉塵吸入が原因で生じ、肺の上の方に大小の結節や瘢痕性(はんこんせい)陰影が生じます(図1)。石綿関連疾患は石綿(アスベスト)吸入が原因で生じ、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水、悪性胸膜中皮腫が含まれます。

図1 珪肺症の一例

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 職業喘息は高分子量物質(植物性物質、動物性物質など)や低分子量物質(化学物質、薬品など)に感作されて発症する喘息と刺激物質(塩素、酢酸、煙など)によって誘発される喘息の2つに大別されます。
 一次予防としては原因物質のばく露防止策が重要です。二次予防として早期発見、早期対策が重要です。治療法は疾患ごとで異なります。
 なお、じん肺の詳細については独立行政法人労働者健康安全機構のホームページ、石綿関連疾患の詳細については独立行政法人環境再生保全機構のホームページを参照してください。