呼吸器の病気

D. 間質性肺疾患

胸膜肺実質線維弾性症(PPFE)

きょうまくはいじっしつせんいだんせいしょう

概要

 PPFE(pleuroparenchymal fibroelastosis)は、上葉優位型肺線維症とも呼ばれるまれな病気で、肺の上の部分が硬くなるのが特徴です。近年、特徴的な病態が明らかになりつつあり、原因がはっきりしない特発性は、2024年に指定難病「特発性間質性肺炎」の一つとして加わりました。

疫学

 50歳代から60歳代以降に多く、性別の差や喫煙との関連はみられません。

発症のメカニズム

 原因がはっきりしない「特発性PPFE」と、臓器移植、薬の副作用、膠原病など他の病気や治療に伴って起こる「二次性PPFE」があります。

症状

 最も多いのは「動くと息苦しい」と感じることです。進行はゆっくりですが、呼吸のしにくさや体重減少などがみられます。胸の形が平たくなるのも特徴的です。痩せて胸の上部がくぼんで見える方は、すでに進行した段階の可能性があります。

診断

 胸のレントゲンでは両肺の上部に帯状の影が見え、進行すると肺上部が縮みます。CTでは上の肺が白く硬く見え、時に気管支の拡張や小さな空洞のような変化(嚢胞)を伴います。呼吸機能検査では肺の容量が減ると同時に、息を吐いても肺に残ってしまう空気(残気)が多くなるのが特徴です。これらの所見を組み合わせて診断します。

治療

現時点で根本的に治す薬はありません。進行を遅らせる薬(抗線維化薬)が一部の患者さんに使われることがありますが、効果は十分ではありません。若い患者さんでは肺移植が検討されることもあります。

生活上の注意

安静時の酸素は比較的保たれますが、進むと呼吸が浅くなり、二酸化炭素が体にたまりやすくなります。体重管理や栄養サポートがとても大切です。また、肺が弱っているため感染症や気胸(肺に穴があく病気)が起こりやすく、注意が必要です。

予後

経過は人によって異なり、10年以上ゆっくり進む方もいれば、数年で酸素を取り込みにくくなる状態(呼吸不全)に至る方もいます。体重減少や気胸の合併は予後に影響します。

(2025年8月)

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