呼吸器の病気

C. アレルギー性肺疾患

薬剤性肺炎

やくざいせいはいえん

概要

 薬を点滴したり、内服することが原因で薬剤本来の効能以外の予期せぬ肺に有害な反応が生じることがあり、これを薬剤性肺炎とよびます。原因となる薬剤の報告は現在までに数百におよび、一般的な肺炎の治療として使用された抗菌薬(抗生物質)によって薬剤性肺炎が生じることもあります。薬剤性肺炎が発症する仕組みには薬のもつ潜在的な毒性による場合と、薬に対する過敏性(アレルギー反応)による場合が考えられています。前者の場合は使用する薬の総使用量が一定の基準を超えると発症しやすくなりますが、それも個人差があります。アレルギー反応が関与する場合はもっと個人差があり、ごく少量しか薬を使用していなくても発症することがあります。

症状

 薬剤性肺炎の症状は、からぜき(たんを伴わないせき)、だるさ(倦怠感)、発熱、呼吸困難などで、一般の肺炎と同様です。

検査

 胸部エックス線検査や胸部CTなどでも一般の肺炎と区別が難しいことがあります。血液検査で好酸球とよばれる白血球が増加している場合は、薬剤アレルギーによる薬剤性肺炎を考える手がかりとなります。診断するうえで重要なことは薬を使用しているという事実です。せきや発熱、呼吸困難などで病院を受診される場合は、どのような薬を服用しているかを伝えるようにしてください。お薬手帳を持参することがお勧めです。

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治療

 薬剤性肺炎の可能性が強く考えられた場合、その薬を中止して肺炎がよくなるかどうかを判定します。中止するだけで順調によくなることもありますが、あまりよくならない場合や、呼吸障害の程度が強い場合ではステロイド薬による治療や酸素療法、人工呼吸器による治療が必要となることもあります。

補足

 薬剤性肺炎についてより詳しく書いた日本呼吸器学会が医師向けに作成した『薬剤性肺障害の評価、治療についてのガイドライン』という資料があります。