呼吸器の病気

C. アレルギー性肺疾患

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

あれるぎーせいきかんしはいあすぺるぎるすしょう

概要

 アスペルギルスは自然界に広く存在しているカビ(真菌)の一種です。通常は人に対して病気の原因とはなりにくい菌ですが、免疫力が低下している人や肺に空洞性の病変がある人では菌を吸い込むことで肺の感染症を引き起こします。またアスペルギルスに対してアレルギーを持っている場合も菌を吸い込むことでアレルギー反応による病気を発症します。その中で喘息患者に特異的で気管支や肺に対する過敏反応による病気にアレルギー性気管支肺アスペルギルス症があります。アスペルギルスには多くの種類がありますがその中でこの疾患の原因となるのはアスペルギルス・フミガートスという種類です。また稀にアスペルギルス以外のカビに対しても同様の病気を発症することがあります。

症状

 この病気は喘息を持っている患者さんに発症します。症状は喘息発作と同様で咳や痰、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)などですが、通常の喘息患者さんと比較してお薬がなかなか効きにくいことが多く、重症例では発熱や食欲不振、血痰や喀血、息苦しさなどを伴います。

検査

 胸部エックス線では肺炎とよく似た影がみられ、胸部CTでは気管支の内側に痰が詰まったり(粘液栓)、気管支が拡張した変化がみられることがあります。また血液を用いたアスペルギルスに対するアレルギー検査などで診断の確定を行います。

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治療

 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の治療は通常の喘息治療に加えてステロイド薬の内服を行います。治療が遅れたり不十分であったりすると肺に線維化といわれる変化や気管支拡張を来たして元に戻らなくなることがあります。その場合、呼吸不全になり酸素療法が必要となることがあります。ステロイドの内服治療は長期間続ける必要がありますが、症状やエックス線・CTでの影が改善すれば徐々に減量していきます。ステロイド薬には多くの副作用がありますが、その対策も行いながら治療を行います。もし治療の効果が不十分な場合は抗真菌薬(カビの増殖を阻止するお薬)の併用を行うこともあります。