活動・取り組み
日本呼吸器学会 海外学会参加助成 被助成者一覧
ATS 2026 参加報告書
独立行政法人国立病院機構 近畿中央呼吸器センター呼吸器内科
茂田 光弘
1.今回ATSに参加した理由
新型コロナウイルス感染症の流行以降、物価高による渡航費用の高騰もあり、海外学会への参加からしばらく遠ざかっていました。しかし、同学年の呼吸器内科医がATSに参加すると聞き、このまま機会を逃し続けるのはよくないと考え、久しぶりに参加を決意しました。また、ちょうど国際誌への投稿を予定している研究があり、世界各国の研究者に発表を聞いていただき、どのような意見が寄せられるのかを直接確かめ、研究内容や考察をさらにブラッシュアップすることも、今回参加した大きな目的の一つでした。
2.発表セッションの感想
今回の発表では、世界各国の参加者から意見や質問をいただき、自分の研究を異なる視点から見直す貴重な機会となりました。自分では重要と考えていなかった点に関心を持っていただくことや、反対に、研究の限界として十分に説明できていなかった点を指摘されることもあり、今後の論文作成に直結する多くの示唆を得ることができました。一方で、限られた時間の中で研究の要点を分かりやすく説明し、英語で質問に対応する難しさも感じ、今後は、研究内容だけでなく、伝え方や質疑応答の準備についても、より一層工夫していきたいと思いました。また、当然ですが国内学会より日本人の参加者が少ないため、普段はなかなか直接意見を伺うことのできない、国内の著名な先生方にも発表を見ていただき、具体的な助言をいただくことができました。この点も、国際学会ならではの魅力であると感じました。
3.参加・聴講したプログラム等の感想
自身の専門である間質性肺疾患に関するシンポジウムや教育セッションを中心に聴講しました。海外では大規模レジストリーを用いた研究が数多く行われており、継続的に質の高い研究を生み出すための基盤が非常に整っており、研究を継続的に発展させるためには、日常診療の中で質の高いデータを蓄積できる仕組みを作ることが重要であると実感しました。今後は、自施設におけるデータベースの整備や、国内の多施設共同研究への参加をこれまで以上に意識して取り組みたいと思いました。
一方で、発表同様に英語力、特にリスニング力が十分でなく、興味深い内容であっても細部まで理解できない場面がありました。今後も国際学会で十分な学びを得るためには、医学知識や研究能力だけでなく、英語力も高めていく必要があると感じました。
4.Congress以外での体験
学会期間中には、呼吸器・間質性肺疾患領域の国内のリーダーの先生方との夕食会に参加する機会をいただきました。普段よりも少人数の食事会であったため、通常の懇親会では短時間しかお話しできない先生方から、臨床や研究に対する考え方などを長時間にわたり伺うことができ、非常に有意義な時間となりました。また、これまであまり交流のなかった先生とも深く話すことができ、今後の共同研究などにつながる可能性を感じました。学会発表や講演だけでなく、このような人的交流も国際学会に参加する大きな意義の一つであると改めて認識しました。
5.今後参加する若手医師へのメッセージ
若手医師には、できるだけ早い時期に国際学会で発表することをお勧めします。私が初めて国際学会に参加したのは医師6年目でした。その時は自分の病院からは一人で参加したため、出発前には不安もありましたが、実際には学会を十分に楽しむことができました。
若い時期は、得られた刺激をその後の成長へ結び付けやすい時期です。国内とは比べ物にならない大規模の学会で、世界中の臨床医・研究者がどのような活動をしているのかを知ることは、その後の臨床や研究の方向性を考える上で非常に重要です。優れた研究や発表に圧倒されることもありますが、それも含めて、自分が今後何を学び、何に取り組むべきかを考えるきっかけになります。
今回は助成をいただき、久しぶりにATSへ参加しましたが、改めて国際学会でしか得られない刺激や発見があることを実感しました。同時に、自分自身の未熟さや、今後さらに努力すべき点も再認識しました。そのような気付きこそが、国際学会へ参加する大きな意味であると思います。
完璧な研究や英語力が身に付いてから参加しようと考える必要はありません。若いうちの力不足や失敗に対しては、周囲も比較的寛容であり、挑戦する姿勢そのものを評価してくれることが多いと思います。一方で、年齢や経験を重ねるとハードルが高くなり、むしろ行きにくくなってしまうこともあると思います。その意味でも、若い時期こそ国際学会に挑戦する良い機会だと思います。まずは演題を応募し、実際に現地へ行き、発表し、世界の研究者と同じ場に立つことが重要です。国際学会への参加は、自分の可能性や視野を広げる大きな一歩になります。ぜひ積極的に挑戦してほしいと思います。



