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ATS 2026 参加報告書

東京大学 生産技術研究所
池尾 聡

1)今回ATSに参加した理由

このたび、米国フロリダ州オーランドで開催されたATS 2026 International Conferenceに参加する機会をいただき、自身の研究成果である「Luminally Accessible Human Pulmonary Aciniform Organoids Enable 3D Dynamic Modeling of Pulmonary Fibrosis」について、Mini Symposiumで口演発表を行った。本研究では、新たに開発したヒトiPS細胞由来の肺細葉様オルガノイドを内腔から加圧することで膨らませ、形態変化や硬さの変化を三次元的に評価し、ブレオマイシン誘導性にオルガノイドの硬さが増し、コンプライアンスが低下することを示した。ATSは呼吸器領域における基礎研究、臨床研究、トランスレーショナル研究が集まる最大規模の国際学会であり、自身の研究を国際的な場で発表し、専門家から意見を得ることを目的として参加した。

2)発表されたセッションの感想

私は、"D95 - GOOD INTENTIONS, BAD OUTCOMES: HOW LUNGS BECOME FIBROTIC"というセッションで採択いただいた。本Mini Symposiumでは、マウスモデルだけではなく、臨床検体を用いた研究が多く、基礎研究と臨床的課題を結びつける視点が強く感じられた。私の発表内容は、マウスを用いた研究や臨床検体での研究等が中心の他演題と切り口が異なる研究だったが、オルガノイドの線維化モデルとしての妥当性や、本モデルの今後の発展可能性について等の質問をいただき、研究の位置づけを改めて考える機会となった。

3)参加、聴講したプログラム等の感想

ATS 2026では、肺線維症、肺再生、肺オルガノイド、免疫細胞、オミックス解析など、幅広いテーマの発表を聴講した。基礎研究の分野では、従来のマウスモデルに加えて、precision-cut lung slices(PCLS)を用いた研究が広がっている印象を受けた。キーワードによる演題検索数では、PCLSが58件、organoidが37件であった。もちろん、これらの検索で正確に演題の研究内容を反映しているわけではないが、少なくとも、PCLSを用いたex vivoモデルへの関心が高いことを実感した。また、肺線維症に関しては、上皮細胞や線維芽細胞だけでなく、マクロファージを含む免疫細胞に注目した発表も目立った。線維化を単一の細胞種の異常として捉えるのではなく、上皮、間質、免疫細胞等の相互作用として理解する流れが強まっていると感じた。

4)その他Congress以外での体験など

開催地であるオーランドは国際会議に適した都市であり、会場周辺にはホテルやレストランが多く、学会参加中も過ごしやすかった。一方で、気温が高い日もあり、屋外と会場内の温度差も大きいため、服装には工夫が必要であった。
参加者の服装については、長袖シャツにジャケットでノーネクタイ、下はチノパンやスラックスなどのビジネスカジュアルに近い服装が多く、デニムの参加者も見られた。ポロシャツの参加者も比較的見かけた。発表者はビジネススーツの方が多かったが、ネクタイをしていない方も少なくなかった。ただし、これはオーランドという開催地の気候やリゾート地という特性の影響もあると考えられる。

5)今後参加する若手医師へのメッセージ

ATSは規模が大きく、最初は圧倒されるかもしれないが、自身の専門分野に近いセッションを選べば、非常に多くの学びが得られる学会である。発表形式としては、Poster、Poster Discussion、Mini Symposiumを経験してきたが、日本人にとってはその場で演者たちと議論するPoster Discussionが最も心理的なハードルが高いかもしれない。しかし、ATSへの参加は、世界の呼吸器研究の流れを直接感じ、自身の研究の位置づけを見直すよい機会となる。若手医師や研究者には、可能であれば聴講だけでなく、演題登録をして発表者として参加することを勧めたい。
最後に、このような形でATS 2026への参加をご支援いただき、貴重な経験を積む機会をいただきましたことに対し、日本呼吸器学会ならびに関係各位の先生方に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

池尾 聡 池尾 聡