活動・取り組み
日本呼吸器学会 海外学会参加助成 被助成者一覧
ATS 2025 参加報告書
神戸市立医療センター西市民病院
岩林 正明
今回、本邦の85施設が参加した特発性間質性肺炎の多施設共同前向きレジストリ試験である、JIPS(Japanese Idiopathic Interstitial Pneumonias)レジストリのサブ解析について発表するためATS2025に参加しました。
国際学会での発表は複数回経験がありましたが、発表データの準備にバタついていたことや多施設共同研究の内容であることなどのプレッシャーがあり、出発前はやや緊張していた部分がありました。しかしサンフランシスコの気候や街並み、また会場の活気でそれらは吹き飛びました。Thematic poster sessionは、定められた約2時間程度の間、ポスターの前に立ち、訪れた参加者にプレゼンテーションをしたり質問に答えたりするものです。日本のようにfacilitatorが参加者を引き連れて歩くパターンではなく、しっかりと議論することができます。Facilitatorは必ず各発表者の元を訪れプレゼンテーションを求められます。いくつか質問を受け、論文化の際の考察に加えるアイディアをいただき、有意義なものとなりました。
今回は業務の都合もありpostgraduate courseには参加できませんでしたが、メインの会期の前にPGYに合わせた教育プログラムが組まれており、今後参加できる場合にはぜひ参加したいと思いました。ATSは過去に参加した学会に比べて、全体的に非常に教育に力を入れていると感じました。一部のプログラムは予約が必須となっており事前のレジストレーションの際に申し込む必要があります。
今回、特に印象に残った発表はやはりnerandomilastのphaseIII試験(FIBRONEER-IPF)の結果が発表されたセッションであったと思います。恥ずかしながら試験の詳細な結果についてはまだ把握しておらず、インパクトのある結果の提示の後、最後のスライドでNEJMへのpublishが報告され、会場全体から拍手が湧き上がりとても印象的でした。
企業協賛のものを除けば夕方遅くまではセッションはなく、夕方からはサンフランシスコの街の雰囲気を満喫しつつ、チャイナタウンやベイブリッジ周辺で食事を楽しみました。またWaymoという自動運転タクシーも体験しました。
国際学会への参加は、多くの先生方にとって、ただでさえ忙しい日常診療に加えて研究を行い発表の準備をする必要があり、更に英語での発表ということからチャンスがあっても参加を躊躇してしまうこともあると思います。加えて、昨今のインフレや円安で、以前より海外へ行くこと自体のハードルも高くなっているはずです。しかしながら、海外の研究者と直接意見を交わしたり、講演を聞いたりし、fundamentalな部分と他国との違いを認識することで、視野が狭くなりがちな自身の診療や研究を俯瞰する、とても重要な素晴らしい機会になると感じました。是非チャンスがあれば実際に参加して感じていただきたいです。
最後に、今回の発表に際し神奈川循環器呼吸器センターの奥田良先生、小倉高志先生、横浜市立大学の武田裕里子先生をはじめ、共著の先生方にはご指導を賜り、この場をお借りして御礼申し上げます。そして、本助成に選出いただいた日本呼吸器学会の関係各位に深く感謝いたします。