活動・取り組み
日本呼吸器学会 海外学会参加助成 被助成者一覧
ATS 2025 参加報告書
公益財団法人ライフ・エクステンション研究所付属永寿総合病院
阿瀬川 周平
1) 今回ATSに参加した理由
2021年より慶應義塾大学医学部医学研究科博士課程で進めている研究成果を論文として投稿するにあたり、国際的な研究者との議論を通じてその質をさらに向上させることを主な目的として参加いたしました。また、自分の研究テーマと関連した研究動向のみならず、呼吸器内科領域の最新の臨床知見に触れることで、自身の臨床医としての知識・能力を深めることも目的の一つとしました。
2) 発表されたセッションの感想
私は5月18日の「FROM PATHOGEN BIOLOGY TO PATIENT OUTCOMES: VIRAL AND FUNGAL RESEARCH PERSPECTIVES」というPoster Discussionセッションにおいて、『Shared Interferon-dependent Pathway Signatures in Organoids Derived from Patients with COVID-19 and SARS-CoV-2 Infected Regional Airway Epithelial Cultures』という演題で発表いたしました。本研究ではCOVID-19患者由来の鼻腔オルガノイドと、SARS-CoV-2感染モデルにおける気道上皮細胞のRNAシークエンスを用い、共通するインターフェロン刺激遺伝子(ISGs)および基底細胞の遺伝子シグネチャーを解析し、疾患の重症度や感染部位・ウイルス株による違いを検討しました。
Poster Discussionでは前半にポスターを掲示して参加者と意見交換を行い、後半に口頭でのショートプレゼンおよび座長との質疑応答がありました。初めての海外学会発表ということもあり、口頭発表や質疑応答では十分に対応できなかった点もありましたが、ポスターセッションでは活発な議論を通して有益なアドバイスをいただくことができました。この経験は自身の今後の研究活動や英語プレゼンテーション能力の向上に向け、大変貴重な機会となりました。
3) 参加、聴講されたプログラム等の感想
一般ポスター会場は非常に広大で、発表されている内容も多岐にわたり圧倒されました。特に気管支喘息における生物学的製剤(例:tezepelumabや新規抗IL-33抗体など)の最新動向についての発表は大変興味深く、有意義な知見を得ることができました。また連日開催されるシンポジウムの中でも、特に5月20日の『OMICS ODYSSEY ACROSS LUNG DISEASES』では、自身の研究に関連する発表が多数あり、基礎研究と臨床研究を結びつける最新の研究動向を深く学ぶことができました。
4) Conference以外での体験
大学院の指導教官と共に、非結核性抗酸菌症の研究で世界的に著名な韓国の先生方や、日本国内の関連研究分野の先生方と食事を含む交流の機会を何度か持つことができました。研究の進め方や今後の課題について議論を深めるとともに、臨床・研究の双方で国際的に活躍されている先生方の姿勢に直接触れ、大きな刺激を受けました。サンフランシスコの地ならではの食文化にも触れつつ、非常に充実した時間を過ごすことができました。
5) 今後参加する若手医師へのメッセージ
私は今回、医師10年目にして初めて海外学会に参加しました。ATSは日本の学会と比較して参加者数、会場の規模、プログラムの充実度が格段に大きく、世界最先端の呼吸器領域の基礎・臨床研究が集結していることを実感いたしました。会場全体が非常に活気にあふれており、自分自身も呼吸器内科医としてさらに成長したいと強く感じることができました。海外学会への参加はハードルが高いように感じるかもしれませんが、得られる経験や学びは想像以上です。若いうちに国際的な学会での発表や交流を経験し、視野を広げる機会を積極的に持たれることを強くお勧めいたします。