Last Update:2014年6月25日

日本呼吸器学会将来計画委員会 報告書「呼吸器診療に携わる医師増加策の必要性」

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平成24年8月吉日
各位

日本呼吸器学会理事長 西村 正治
日本呼吸器学会前理事長 永井 厚志
日本呼吸器学会将来計画委員会前委員長 木村  弘

 平素、日本呼吸器学会の活動に対しまして格別のご理解、ご配慮をいただき深謝申し上げます。

 当学会では将来計画委員会を中心として、呼吸器科医の勤務状況に関する実態調査を平成16年から継続的に実施して参りました。その背景には、小児科・産科・救急科等の医師不足による社会的問題と同様に、呼吸器科医師の不足や呼吸器科勤務医の訴える疲弊感が学会内においても重大な問題との認識がありました。

 この調査で明らかになったことは、第一に呼吸器疾患患者の受療率は、循環器疾患、消化器疾患とほぼ同様であるにもかかわらず(厚生の指標 国民衛生の動向, 2011/2012年)、呼吸器科勤務医における常勤医数は各々、循環器内科の61%、消化器内科の79%、専門医数は循環器内科の55%、消化器内科の68%と明らかに少ないことでした(日本呼吸器学会雑誌, 2006)。しかも、呼吸器科医数、呼吸器専門医数の都道府県間較差は、最大で各々3.9倍、6.1倍に達し、内科医数の2.9倍を大きく上回っています。つまり、呼吸器科医と呼吸器専門医の分布には、都道府県を越えた都市圏・地方圏の偏在があり、呼吸器診療においても医療の均霑化が大きな課題であることが明らかとなりました(日本医師会雑誌, 2009, 2011)。この問題は未曾有の東日本大震災を契機に東北地区での呼吸器診療医の不足が重大な危機に陥ったことからも明白でした。

 次に、呼吸器科医師の絶対数不足と、『診療科』・『地域』双方における偏在・不均一性は、診療面においても重大な問題を引き起こしていることが浮き彫りになりました。驚くべきことに、呼吸器専門医の少ない県では日常的にありふれた呼吸器疾患であり頻度も高い喘息やCOPDによる死亡数が有意に多いことが判明したのです。専門医が少ない背景には、その専門医を育てるべき呼吸器内科(呼吸器科)教授の在籍がないことも一因と推定されました(日本医師会雑誌、投稿中)。

 このような状況分析を踏まえ、当学会では「報告書 呼吸器診療に携わる医師増加策の必要性」を発行して、この深刻な事態を国民に広く知らしめる必要があると考えるに至りました。呼吸器科診療の均霑化を進め、国民の肺の健康を守るという観点からも、呼吸器科医師の不足と偏在をもはや放置することは許されない状況にあります。国民の肺の健康に関する深刻な問題を、医療政策担当者、医科系大学関係者、医師会、研修指定病院関係者、マスメディア等々、さまざまの国民レベルでご理解いただき、改善に向けてともに取り組む必要があると考えております。改善に向けてのご検討、ご尽力をお願い申しあげる次第です。

 報告書「呼吸器診療に携わる医師増加策の必要性」(13.9MB)


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