Last Update:2014年3月3日

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呼吸器の病気

E-04腫瘍性肺疾患
じゅうかくしゅよう

縦隔腫瘍

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【概要】

 縦隔は特定の臓器の名称ではなく、胸膜によって左右の肺の間に隔てられた部分を指し、心臓、大血管、気管、食道、胸腺、リンパ節、神経節などの臓器が存在する場所をさします(図1)。縦隔腫瘍とはこれらの縦隔内の臓器に発生する腫瘍(できもの)の総称です。発生年齢も多様で小児から高齢者まで発症し、悪性から良性まで多様です。


図1

【疫学】

 2000年の手術症例をまとめた報告では、全体の約4割は胸腺腫が占めており最も多い腫瘍です。次いでのう胞が15%、神経原性腫瘍が13%となっており、悪性度の高い胚細胞性腫瘍、胸腺がん、悪性リンパ腫がそれぞれ5~10%を占めています。縦隔腫瘍は一般に比較的まれな腫瘍であり、20~50歳代の方に多く加齢とともに減少します。サイズが小さいと無症状のことが多く、また胸部エックス線画像では心臓や大血管に重なってわかりにくいため、CT検査を受けて偶然見つかることも多いです。

【症状】

 多くの場合無症状で、検診や他の病気の検査中にはじめて発見されます。しかし腫瘍が周りに拡がると、胸痛、肩痛、せき、喘鳴(「ぜんそく」のように呼吸時にゼーゼー、ヒューヒュー音がする)、嗄声(声がかすれる)、呼吸困難、嚥下障害(ものを飲み込んだときにつかえる感じ)などが出現します。

【検査】

 診断はまず、胸部エックス線画像、胸部CT検査、核磁気共鳴診断(MRI)、超音波検査などを組み合わせて画像診断を行います。それをもとに、エックス線や超音波で誘導しながら針を刺して病気の組織を取り出し(生検)、病理診断(顕微鏡による診断)をします。良性から悪性まで、多種多様の腫瘍がありますが、縦隔を上縦隔(縦隔の上の方)、前縦隔(縦隔の前の方)、中縦隔(縦隔の真ん中あたり)、後縦隔(縦隔の後ろの方の部分)に分けると、腫瘍の種類によって発生しやすい場所が分類されます(資料1


資料1 縦隔腫瘍の種類と割合

【治療】

 縦隔腫瘍は、縦隔にできた腫瘍の総称なので、同じ縦隔腫瘍といっても、腫瘍組織の種類は様々でそれによって治療法も異なっています。縦隔腫瘍のうち良性腫瘍では原則として手術が行われます。手術の方法も、発生する臓器、場所、拡がりに応じて異なり、胸骨正中切開(1)や後側方切開(2)(図2)が行われます。また腫瘍が早期で小さい場合は内視鏡手術を行う場合もあります。悪性腫瘍(がん)では、腫瘍の組織型により、手術、化学療法、放射線治療のいずれか、またはそれらの組合せが用いられます。最近では、肺がんと同じように集学的治療(いくつかの治療法を組み合わせた治療)が行われ、治療成績が少しずつ向上しつつあります。


資料2


図2

【治療費の軽減施策】

 特に悪性の場合は、抗がん剤治療等、高額となるため高額療養費制度により、自己負担分が一定額以上になった場合、負担が軽減されます。詳しくは、各病院のがん相談センターまたは相談員にお尋ねください。

【生活上の注意】

  1. 肺がん同様、規則正しい食生活を心掛けてください。
  2. 治療中は、感冒など感染に注意しましょう。

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