Last Update:2017年6月23日

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呼吸器の病気

E-03腫瘍性肺疾患
はいのりょうせいしゅよう

肺の良性腫瘍

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【概要】

 肺の良性腫瘍は気管支、肺実質、血管、胸膜などから発生し、肺腫瘍全体の2~5%を占めます。肺の悪性腫瘍と比べるとまれで、肺癌や転移性肺腫瘍との鑑別において重要です。一般的には無症状で、健康診断や他疾患の治療中に胸部エックス線や胸部CTで異常陰影として発見されることが多いです。大きくなる速度も遅く、他の臓器に転移することもありません。画像で肺癌と似ていることがあるため、慎重に経過を追うことがあります。

【疫学】

 肺癌に比べてまれですが、形や発生部位によって、さまざまな種類があります。一番多いのは過誤腫(約50~70%)で、手術前に診断ができない場合もあるため、全手術の数%が過誤腫であるといわれています。その他の種類として、硬化性血管腫、軟骨腫、脂肪腫、平滑筋腫などがあります。

【症状】

 急速に大きくなることが少ないため、症状が出現することはまれで、多くの場合、健康診断や他疾患のフォロー中に胸部エックス線や胸部CTで異常陰影として発見されることが多いです。腫瘍ができた部位によっては、せきや痰などの症状が出ることもあり、気管支が狭くなるような場合には肺炎などを起こすことがあります。

【検査】

 胸部エックス線やCTでは、その画像上の特徴だけでは肺がんなどの重大な病気と見分けがつかない場合もよくあります。肺にできた腫瘍は気管支鏡と呼ばれる内視鏡で腫瘍細胞の一部を採取して、良性か悪性かを判断します。組織が採取困難であった場合や、採取された組織が少量であれば判断が難しく、手術で良性か悪性か判断する場合もあります。気管支鏡検査の他に、CTやMRIなどを行って腫瘍の形や中身を評価します。近年、PETと呼ばれる検査が普及し、1cm以上の大きさの腫瘍であれば、ある程度、良性と悪性の見分けが可能になってきています。

【治療】

 良性腫瘍の治療法は原則的に手術です。ただし、手術をするのは、周囲圧迫のために呼吸機能が低下したり、特定の場所に肺炎が繰り返し生じたりする場合などです。悪性腫瘍(がん)と区別できない場合には手術により診断と治療を同時に行うことがあります。明らかに良性腫瘍であるとわかっている場合で、合併症や高齢などの理由で手術ができない時には、内視鏡の届く場所にできた気管支腫瘍に対して内視鏡で腫瘍を取り除くこともあります。また良性腫瘍であることがはっきりしていて、増大傾向がなく、しかも無症状の場合には経過をみるだけで十分です。放射線治療や薬物療法は効果がないとされています。

【生活上の注意】

 特に注意することはありませんが、増大してこないか、かかりつけ医を持って、定期的に検査してもらいましょう。手術後は、胸痛が続くことがありますが、殆どは再発ではなく、手術時の傷が神経を刺激するためといわれています。

資料1 肺の良性腫瘍
良性腫瘍 良性腫瘍 悪性腫瘍
発育速度 遅い 早い
転移 しない する
主な症状 多くは無症状 早期は無症状
せき・たん・喘鳴(ヒューという呼吸の音)など せき・血痰(けったん)・やせ・痛みなど
レントゲンの特徴 辺縁明瞭・均一な腫瘍 辺縁不整・不均一な腫瘍
代表的なもの 過誤腫 奇形種 硬化性血管腫 肺がん 胸膜悪性中皮腫
*上記の特徴には、がん種、個人により差があることに注意

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