第57回日本呼吸器学会学術講演会

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会長挨拶

 我が国の、そして世界の疾病構造は大きな変遷を遂げてきました。生活習慣が変わり、社会の高齢化が進んだ現在、呼吸器疾患の重要性が年々高まっています。肺炎、肺癌、COPDによる死亡を併せると、臓器別では呼吸器疾患による死亡が日本人死因の第一位です。すなわち、21世紀の医学界は呼吸器疾患の時代といっても過言ではありません。我々呼吸器科医に託された責務はきわめて大きなものとなりました。
 これまで、我々医師・研究者が目指してきたものは正確な診断と有効な治療、そして疾病の予防でした。これを達成するために病因・病態の解明に大きな時間と労力を費やしてきました。もちろん、これらは今後も医学研究の重要なゴールであることにかわりはありません。しかし、どうやらそれだけでは足りないことに気づく時が訪れたようです。今、我々が直面しているのは、終末期医療をどうするか、医療とケアのバランスをどう取るか、医療コスト・医療経済への配慮はいかにあるべきか、疾病予防の観点から環境問題にどう取り組むかなど、従来の医学の殻に閉じこもっていては解決不能な外的因子を含んだ課題です。加えて、医療安全、感染対策、医療倫理、研究倫理、利益相反、新指針や法律への対応、新専門医問題、地域医療、医療連携、国際連携など広い視野をもって呼吸器疾患と対峙する必要に迫られています。
 そのような状況の中、第57回呼吸器学会学術集会をお世話させていただくことになりました。今回の学術集会のテーマは「Clean Air & Clean Science」としました。大気汚染に代表される環境問題は言い古された感もありますが、実は多くの新しいかつ重要な課題が山積しています。我が国においては、PM2.5の問題、東北と熊本の震災で表出した粉塵被害などの環境問題があります。室内環境も無視できません。家庭バイオマス燃料や受動的喫煙を含む喫煙問題も世界中で問題となっています。現在、この領域に科学のメスを入れる動きが注目されています。加えて、Clean Airは、アメリカ胸部疾患学会、ヨーロッパ呼吸器学会も呼吸器疾患制圧のための最重要課題の一つとして採り上げており、まさに私達の学問領域の新しい潮流となっています。Clean Scienceについては、相次ぐ医学研究の不正事例を受けての造語です。この問題は医学研究に携わるものとして心痛いばかりです。学会としては、この言葉をキーワードとすることで適正な学術活動・研究活動を応援したいと考え、サイエンスの充実、国際セッションの拡充、Up to dateな教育プログラム企画を試みました。皆様のご参加をお待ち申し上げています。

第57回日本呼吸器学会学術講演会 会長
中西 洋一
九州大学大学院附属胸部疾患研究施設 教授

会長所属機関
九州大学病院 呼吸器科
九州大学大学院医学研究院 胸部疾患研究施設
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
TEL:092-642-5378
http://www.kokyu.med.kyushu-u.ac.jp/

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