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日本呼吸器疾患患者団体連合会プレジデンシャル・シンポジウム発表報告

Last Update:2005年5月9日

在宅呼吸管理の新展開―在宅酸素療法20年を期して―

座長:アジア・太平洋呼吸器学会 福地義之助
京都大学呼吸器内科学 三嶋 理晃

在宅酸素療法のEBMと進歩、そして今後の展望・課題
 三嶋 理晃(京都大学呼吸器内科学)
在宅人工呼吸療法―これまでの歩みと今後の課題―
 石原 英樹(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
呼吸管理のニューテクノロジー ―導入の現状と問題点―
 宮本 顕二(北海道大学保健学科臨床理学療法学講座)
準呼吸不全に対する酸素吸入療法の意義
 藤本 圭作(信州大学内科学第一講座)
在宅呼吸ケアシステムの現状と今後の課題―在宅呼吸ケア白書より―
 植木  純(順天堂大学医療看護学部)
在宅呼吸ケアを受けている患者の実態調査:在宅呼吸ケア白書より
 大泉  廣(日本呼吸器疾患患者団体連合会)
特別発言「在宅呼吸管理の新展開―在宅酸素療法20年を期して」
 川城 丈夫(独立行政法人国立病院機構東埼玉病院)
閉会の辞
 藤村 重文(日本学術会議呼吸器学研究連絡委員会委員長(東北厚生年金病院))

 4月16日(土曜日)9時〜12時 千葉幕張メッセにて在宅呼吸ケア白書のアンケート結果が発表されました。このシンポジウムは在宅酸素療法の健康保険適応20年を機会に在宅呼吸ケアの新展開を白書からの情報をもとに提案するシンポジウムでした。日本呼吸器疾患患者団体連合会からは患者アンケート結果の紹介とともに、皆さまからの要望を発表しました。各講師からの報告の後、討論会があり、それを受けて座長の福地先生が提言をまとめました。
 日本呼吸器学会の会員先生の前で連合会として報告するのは初めてのことでしたので、連合会の成り立ちおよび活動の柱をご説明し、本アンケート調査の位置づけを明確にしました。連合会会員団体の皆様の協力を得て、2237名にアンケートを返信頂きました。人工呼吸器を使用している人は458人で、そのほとんどが鼻マスク式人工呼吸器を使用しており、在宅酸素療法と併用している人は431人でした。多ページにわたるアンケート項目から要望の根拠となるようなデータを紹介しました。特に療養生活に対する要望としては在宅酸素や人工呼吸器を使用している人もしていない人も、「療養生活についてもっと教えてほしい」が80%をしめました。教えてほしい具体的な内容としては「息切れを軽くする日常生活動作の工夫」が最も多い結果となりました。データの詳細については6月発行の白書をご覧下さい。

日本呼吸器疾患患者団体連合会プレジデンシャル・シンポジウム発表報告

日本呼吸器疾患患者団体連合会プレジデンシャル・シンポジウム発表報告

 調査対象として最も多かった在宅酸素療法を受けている人(1195人)について、白書から示される患者像をまとめました。在宅酸素療法を実施している人はインフルエンザワクチン接種率が非常に高く、呼吸リハビリテーションに指導を受けたことがある人が半数以上いる結果でした。一方、在宅酸素療法を実施する上で期待する効果は最も多いものが「息切れの軽減」で、次いで「心臓を守る」ことでした。療養指導については、「息切れを軽減する日常生活動作の工夫」に関して、より多くの指導を望む患者が多い結果でした。在宅酸素療法を実施する上での最も大きな不安は、「停電・災害時への不安」であることがわかりました。また、在宅酸素療法全般に対しての最も強い要望は「酸素濃縮器の電気代の助成」でした。

在宅呼吸ケア白書で示された在宅酸素療法(HOT)患者像

インフルエンザワクチン接種率が高い。
呼吸リハビリテーションに指導を受けた人が多い。
■HOTの期待効果は、第一に息切れの軽減で二番目に心臓を守ることである。
息切れを軽くする日常生活動作の工夫に関してより多くの療養指導を望んでいる。
■HOT実施上の最も大きな不安は、停電・災害時への不安である。
■HOT全般に対して最も強い要望は酸素濃縮器の電気代の助成である

2005年4月16日
日本呼吸器疾患患者団体連合会 代表幹事 大泉廣

 特別発言では、連合会でワーク2を担当いただいている川城丈夫先生が今後の課題をまとめられました。在宅呼吸ケアの更なる認知向上とネットワーク・チームワーク・支援体制の構築の促進(特に呼吸器を専門としない医療者)、機器の更なる開発と日常のモニタリング、広域災害時の救援体制など整備などを重点項目に、今後学会がより国際的に、また今回連合会が報告したことで、より社会的になったことを確認し、他の学会、関連企業、行政とも連携して患者をしっかりサポートできる在宅呼吸ケア作り、社会つくりを目指すことを述べられました。
 講演、討論を通して運動時低酸素への早期在宅酸素導入については呼吸困難、運動能力、QOLが改善するデータが示され、前向きな検討に向けてのコンセンサスが得られました。また、早期呼吸リハビリテーションの重要性、在宅呼吸ケアにおけるディジースマネジメントの専門看護師の必要性などが議論されました。連合会としては発言の機会が2度あり、COPDは治らないと患者にいう医師がまだ多いので是非ともCOPDに対する認識を普及しこれを改善いただきたいこと、早期の在宅酸素導入を患者は強く望んでいること、呼吸リハビリテーションの充実・普及いただきたいことおよび日本呼吸器疾患患者団体連合会として学会と一緒に活動をしていきたいことをお伝えしました。

白書を踏まえた連合会からの要望

日々の療養生活のために

  1. 増悪の予防とQOLの改善にむけた指導
    ・早期からの呼吸リハビリテーションの実施
    ・呼吸リハビリテーションを受けられる施設の増加
  2. 在宅酸素療法適応判定時の詳しい検査
    ・運動時・睡眠時含めた日常生活における低酸素検査の実施
    ・息切れの強い患者への早期導入の考慮

福祉に対する働きかけ

  1. 身体障害者認定
    ・内部障害認定の適正化、2級の創設
  2. 介護保険
    ・要介護認定における呼吸器症状の評価(息切れ)
    ・介護保険施設と医療機関との連携

安全で安心な在宅呼吸ケア体制作り

  1. 酸素事業者の業務の、質の監視
  2. 患者への緊急時の、具体的対処方法の指導

社会に対する呼吸器疾患、呼吸器障害者についての啓発

  1. 一般市民・患者に対する啓発活動の充実
    ・呼吸器症状に関する相談の実施や呼吸器教室
  2. 専門医以外の医療従事者への在宅呼吸ケアの啓発
    ・地域医療従事者や介護保険関連サービス従事者への情報提供

 締めくくりとして、座長の福地先生から白書を踏まえた在宅呼吸ケアの質の向上、今後の重点課題の科学的根拠の前向きな追及(早期の在宅酸素導入、早期在宅補助換気)および日本呼吸器学会と日本呼吸器疾患患者団体連合会が両輪で質の高い在宅呼吸ケアための働きかけを社会にしていくことを明確に打ち出した提言の紹介がありました。本シンポジウムの討論を踏まえた提言が白書に掲載されるとのことです。また、本シンポジウムは、呼吸器学会始まって初めて患者が正式に報告者として演台にたつ、学会活動としても記念すべきものであること、また白書のアンケートは連合会初めての公的活動であり、それに多くの患者さんから協力を得られたことに感謝の意をのべられ、盛況に終わりました。

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