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[呼吸器の病気]
胸膜炎

Last Update:2009年6月16日


[胸膜疾患]

胸膜炎(きょうまくえん)

 ヒトの胸部は、胸椎(背骨)・肋骨・肋間筋(肋骨の間にある筋肉)・胸骨(前胸部にある骨)などでできている筒のような形(胸壁)の中に肺・心臓などがすっぽりと収まっている構造をしています。胸膜は肺を包む2枚の薄い膜で、肺そのものの表面を包む臓側胸膜(ぞうそくきょうまく)と胸の壁の内側を覆っている壁側胸膜(へきそくきょうまく)とがあります(胸膜腫瘍の図を参照)。2枚の膜の間のスペースを胸腔と言いますが、ここにはわずかな水(胸水)があり呼吸に伴って肺と胸の壁がこすれてしまわないよう潤滑材の役割を果たしています。

 胸膜炎とは、この肺を取り囲んでいる胸膜に何らかの理由で炎症が生じている状態を指します。このような場合、多くは胸膜の中にある血管から血液中の蛋白や水の成分が2枚の膜の間のスペース(胸腔)に浸みだして、胸水という病態をとります(資料1)。胸膜に炎症を起こす原因としては、細菌感染、腫瘍、膠原病などがあります。細菌感染は多くの場合、外界から気管支を通って肺に達し、肺炎を起こした後に肺を包む膜である胸膜に至ります。従って、胸膜炎と肺炎が同時に認められることが多くなります。貯まった胸水の中に細菌がほとんどいない状態と胸水の中で細菌が増殖を始めてしまっている状態があり、後者を膿胸(膿胸の項参照)と呼びます。細菌の種類には、大きく分けて一般細菌と抗酸菌があります。抗酸菌という種類の中で最も有名なものが結核菌です。結核菌は、肺内に炎症を起こした時期からかなり遅れて(年の単位で遅れることもあります)胸膜炎を起こしてくることがあり、肺炎がなく胸水しか認められないため診断に苦慮することがあります。腫瘍で最も胸膜炎を起こす頻度が高いものは肺癌です。肺の中で生まれた癌細胞が胸膜に達すると、癌性胸膜炎という“癌細胞による炎症”を生じます。また、胸膜そのものから生まれる悪性腫瘍である悪性胸膜中皮腫も多くの場合、胸膜炎及びそれに伴う胸水が見られます。また、膠原病という稀な疾患も胸膜炎を起こすことがありますが、胸膜炎を生じる頻度の多いものとしては、慢性関節性リウマチや全身性エリテマトーデスという病気があります。

 症状としては、胸痛、息切れ(胸水が増えると肺が圧迫されて呼吸が障害されます)、発熱が特徴です。特に、胸膜は皮膚などと同じように痛みを感じることができる組織であるため片方の胸全体にわたる痛みが生じることがあります、深い呼吸をすると増強することが特徴です。

胸部X線写真(資料1):向って左が患者さんの右側です。右側に白い胸水の影がみられます。大量の胸水が貯留した癌性胸膜炎の患者さんのものです。

 胸水が胸部単純X線写真、超音波検査、CTなど明らかになると、多くは原因を調べるために胸水を抜いてその性質や胸水の中に含まれている細胞を調べることが必要です。胸水の検査では、超音波検査で胸水を確認して局所麻酔(抜歯の麻酔と同様)をした上で針を刺し、胸水の一部を採取します。診断がつかない場合には、胸膜の一部を取る生検という検査が行なわれることがあります。生検は、局所麻酔で体表から生検針という特殊なかぎ針を刺して行う方法と、全身麻酔をかけた上で胸に3つの小さな穴を空け、胸腔鏡という器械で中を直接観察しながら行なう方法があります。

 胸膜炎の原因は様々で、治療は原因により異なります。

 胸部X線写真(資料1):向って左が患者さんの右側です。右側に白い胸水の影がみられます。大量の胸水が貯留した癌性胸膜炎の患者さんのものです。

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