ごあいさつ

ごあいさつ

写真.jpgのサムネイル画像この度、第66回臨床呼吸機能講習会を8月27日(木)~29日(土)の3日間、京都で開催させていただくことになりました。本講習会は、学術講演会と同じ回数であることからもわかりますように日本呼吸器学会(旧:日本胸部疾患学会)と同じ歴史をもち、昭和36年に第1回が開催されています。当初は、肺機能セミナー主催、学会が後援という形式でしたが、その後、多くの受講生を輩出して発展し、第48回からは学会が主催となって実施され、今日に至っています。
肺は、常に体外および体内環境の影響を受け、さらに、換気に伴う動的な形態変化を示すという、他の臓器にはない特徴を有しています。このため、日々の診療において呼吸器疾患の病態を考え、理解するためには、呼吸生理学は不可欠であり、診療の根幹を成すものといえます。時代とともに新たな学問や技術が開発され、呼吸器病学は大きな進歩を遂げてきましたが、生理学的視点から疾患を見つめることの重要性は今後も変わることなく、むしろ学際的・統合的な解析が求められる現代において、その意義は一層高まっていると思われます。このことが呼吸器専門医取得に本講習会が必須とされる所以であると考えられます。
各コースの詳細につきましては、主任の先生方からの案内やプログラムをご参照ください。「基礎」、「応用」、「呼吸管理実践」のコースは、それぞれ呼吸機能検査の基礎的な知識から疾患との関係、臨床への応用、そして呼吸管理における実践的な内容を講義や実習、症例検討を通して学べるものとなっています。本講習会は、かつては6日間にわたり開催されていましたが、現在は2日半に凝縮して実施しています。そのため、1回の受講で呼吸機能検査・呼吸生理学のすべてを網羅するのは難しく、ぜひ複数回の受講をお勧めしたいと思います。「初期臨床研修医コース」では、呼吸器のおもしろさを知り興味を持って学んでいただけるよう工夫がなされています。さらに、今回の大きな特徴として、「研究者育成コース」を新たに設けました。呼吸器病学には未解決の課題が多く、基礎・臨床研究の推進は不可欠ですが、近年、多様で高度な技術や手法が急速に進歩し、一つの研究室だけですべてを教育・実践することが困難な状況になっています。このような中で学会として次世代を担う若手研究者を育成していくことは極めて重要なことと考え、本コースを復活させていただきました。時代とともに注目されるテーマや技術は変遷していきますが、呼吸器疾患を理解し研究していく上では、それらを常に俯瞰してとらえ、世代を超えて議論を重ね、ベテランから若手へと知を継承していくことが必要です。本講習会がその一助となり、呼吸器病学のさらなる発展につながることを願っています。
明日からの診療や研究に役立つ充実した講習会となるよう、主任、副主任、講師の先生方とともに鋭意準備しておりますので、ぜひ一緒に学びを深めてまいりましょう。

第66回臨床呼吸機能講習会 会長
京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学 教授
平井 豊博