健康日本21(第三次)
日本呼吸器学会プロジェクト「木洩れ陽 COMORE-By2032」

健康日本21(第三次)「COPD死亡率減少」に向けた呼吸器学会からの提言

閉塞性肺疾患学術部会

2023年5月31日版

「健康日本21(第二次)」(平成25年施行)において、COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、がん、循環器疾患、糖尿病と並び、対策を必要とする主要な生活習慣病と位置づけられ、COPDは疾患認知度を上げることで早期発見・治療介入に結び付け、健康寿命の延伸や死亡数の減少に寄与することを期待し、「COPDの認知度の向上」を目標として、これまで情報発信など様々な取り組みを行ってまいりました。
このたび、新たに「健康日本21(第三次)」を推進する上での基本方針が令和5年5月31日に公表され(厚生労働省告示第二百七号として、令和5年5月31日付け官報に厚生労働大臣告示)、COPD対策としては、引き続き認知度の向上を行うことに加え、「COPDの発症予防、早期発見・治療介入、重症化予防」など総合的に対策を講じていくことが必要と示されています。また、令和3年度の統計で人口10万人あたり13.3人のCOPD死亡を令和14年(⻄暦2032年)には10.0まで減少させる、という新たな目標案が掲げられました。
本目標の達成には、医療従事者(呼吸専門医はもとより非専門医などを含む)の「COPDの発症予防、早期発見・治療介入、重症化予防」に関する正しい理解の促進、また、患者さん(未診断の患者を含む)の疾患に対する正しい理解を促進することが必要不可欠です。本目標は、本学会はもとより、都道府県、各市町村などの自治体、関係医療機関、医師会、薬剤師会、理学療法士協会、など多職種からなる医療従事者、関係企業も含めて取り組み、潜在的な患者を含めたCOPDの早期発見、受診勧奨、疾患啓発などによる働き掛けなどの活動を通して達成できるものと考えております。
そこで、日本呼吸器学会では学会ホームページ等を通して自治体を含む関係各所のお役に立てるように、COPDの死亡率の速報値やCOPD死亡率減少に向けた取り組みに関する情報、お近くの呼吸器専門医の情報などを提供するよう努力してまいります。
日本呼吸器学会では、これらの COPDに対する取り組みに日差しが降り注ぐことを期待し、Project for COPD MOrtality REduction BY 2032 (COMORE-By2032、日本呼吸器学会COPD死亡率減少プロジェクト・通称 木洩れ陽2032)と命名しました。「木洩れ陽2032」では「COPD死亡率減少」までのプロセスを「早期受診の促進」「診断率の向上と適切な治療介入」を目的とした実行モデルを提唱し、自治体などのステークホルダーの様々な活動をサポートしてまいります。

一般社団法人日本呼吸器学会 閉塞性肺疾患学術部会 室 繁郎、川山智隆、柴田陽光、杉浦久敏
一般社団法人日本呼吸器学会 理事長 平井 豊博

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