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Last Update:2013年4月9日

呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定器の適正使用に関する注意事項の掲載について

日本呼吸器学会
会員各位

一般社団法人日本呼吸器学会
理事長 西村 正治

呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定器の適正使用に関する注意事項の掲載について

 喘息患者の診断やモニターとして呼気NO測定検査方法があり、現在日本アレルギー学会と共同で、保険収載を目指して厚生労働省に申請中です。当局からの承認の条件として、本検査に使用される機器の適正使用に関して、会員への注意喚起と周知徹底を事前に行うよう要請されております。今後、この検査に際して、FeNO測定器をご使用される会員の皆様におかれましては、本文を熟読いただき適正使用にご留意されますようよろしくお願いいたします。

(以下に本文を掲載いたします。)


呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定器の適正使用に関する注意事項

FeNO測定器の使用において注意するべき事項
1,    FeNO測定の現時点における臨床的位置付けは、下気道における好酸球浸潤(炎症)を非侵襲的に捕捉することである。
2,    FeNO測定値をどのように用いるべきか明確な判断基準は現時点で確立されていない。したがって、気管支喘息等の好酸球性炎症に関わる疾患の診療に十分な経験と知識を持った医師(日本呼吸器学会、アレルギー学会専門医等)が、対象となる患者の臨床症状や検査所見の情報を見極めた上で、好酸球性炎症の程度を推定するためにFeNO測定値を補助的な指標として用いるべきである。

FeNO測定器の適正使用のために参考となる情報
1,喘息予防・管理ガイドライン2012(日本アレルギー学会発行)1)における記載
1)喘息の診断
 一般に、喘息の臨床診断は、①発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳などの症状の反復、②可逆性の気流制限、③他の心肺疾患の除外、によるが、④気道過敏性の亢進、⑤アトピー素因、に加え、⑥喀痰、末梢血中の好酸球数増加やFeNO上昇で捕捉された気道炎症の存在、は喘息の診断における目安となる。FeNO測定は好酸球性気道炎症を反映する指標の1つであり、未治療の喘息患者では一般に高値を示す。さらに、吸入ステロイド薬などの抗炎症薬の投与により低値となるため、気道炎症の評価において有用である。

2)喘息の管理
 FeNO測定は気道炎症のモニターとして有用であり、FeNOが高値の場合はステロイド反応性の指標となる。しかし、喘息コントロールの指標として日常的に使用できるかどうかはエビデンスに乏しい。

2,アメリカ胸部疾患学会臨床ガイドライン:臨床応用に向けた呼気一酸化窒素濃度の解釈 (An official ATS clinical practice guideline: Interpretation of exhaled nitric oxide levels (FENO) for clinical applications)2) における記載
1)FeNO測定値の臨床応用において強く推奨される事項
  • 好酸球性の気道炎症の診断に有用である。
  • 気道炎症が慢性的な呼吸器症状の原因として疑わしい患者においてステロイド薬が反応する可能性を判定するのに有用である。
  • 12歳以下の小児においては年齢が測定値に影響する。
  • FeNO測定値が25ppb未満(小児であれば20ppb未満)の場合、好酸球性の気道炎症が存在することやステロイド薬に反応する可能性が低い。
  • FeNO測定値が50ppbを超える(小児であれば35ppbを超える)場合、好酸球性の気道炎症が存在することやステロイド薬に反応する可能性が高い。
  • FeNO測定値が25ppbから50ppbの間(小児であれば20ppbから35ppbの間)である場合には、臨床的な状況を参考にしながら慎重に解釈する。
  • 持続的で強いアレルゲンへの曝露は、FeNOが高値となることに関連する。
  • 喘息患者において気道炎症のモニタリングに有用である。

2)FeNO測定値の臨床応用において弱いながらも推奨される事項
  • 客観的な根拠が必要な状況において喘息の診断を補助する。
  • FeNO測定値を解釈する際には基準値よりもカットオフ値を参照する。
  • 連続した2回のFeNOの測定において、前値が50ppb以上の患者の測定値が20%以上、前値が50ppb未満の患者の測定値が10ppb以上増加した場合に、測定値が有意に上昇したと解釈する。
  • 連続した2回のFeNOの測定において、前値が50ppb以上の患者の測定値が20%以上、前値が50ppb未満の患者の測定値が10ppb以上減少した場合に、抗炎症治療に対し有意な反応を示したと解釈する。

3,FeNO測定器により測定した日本人の呼気一酸化窒素濃度正常値と喘息補助診断のためのカットオフ値。文献3)4)5)における記載
1)日本人の成人健常者におけるFeNO正常値3)
18歳以上の日本人の健常者240名(男性131名、女性109名)を対象に測定されたFeNOの正常上限値は36.8ppbであった。

2)日本人の成人喘息患者の補助診断におけるFeNOカットオフ値4)
 健常者224名と新患で吸入ステロイド薬を未使用の喘息患者142名を対象とした、健常者と喘息患者を鑑別するFeNO値として、22ppbが最も感度(91%)と特異度(84%)に優れたカットオフ値であった。

(文献)
1、    喘息予防・管理ガイドライン2012.監修:社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会 作成:息予防・管理ガイドライン2012作成委員会,協和企画,東京, 2012.
2、    An official ATS clinical practice guideline: Interpretation of exhaled nitric oxide levels (FENO) for clinical applications. Am J Respir Crit Care Med 184: 602-615, 2011
3、    Matsunaga K, Hirano T, Kawayama T, Tsuburai T, Nagase H, Aizawa H, Akiyama K, Ohta K, Ichinose M. Reference ranges for exhaled nitric oxide fraction in healthy Japanese adult population. Allergol Int 59: 363-367, 2010
4、    Matsunaga K, Hirano T, Akamatsu K, Koarai A, Sugiura H, Minakata Y, Ichinose M. Exhaled nitric oxide cutoff values for asthma diagnosis according to rhinitis and smoking status in Japanese subjects. Allergol Int 60: 331-337, 2011
5、    呼気NO(一酸化窒素)測定ハンドブック -喘息診断の新しいツール-.発行:厚生労働科学研究費補助金 免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業 気道炎症モニタリングの一般臨床応用化:新しい喘息管理目標の確立に関する研究班 作成:一ノ瀬正和、相澤久道、秋山一男、大田健、松永和人, 和歌山県立医科大学内科学第三講座, 和歌山, 2011.

以 上

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