Last Update:2017年7月11日

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呼吸器Q&A

Q13

突然、呼吸が苦しくなりました

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はじめに

 呼吸が突然苦しくなったことはありますか。例えば、全力で走ったりした後は呼吸が苦しくなりますが、それは程度は違えど誰でも起きうることです。ただ、中には安静にしている時でも強い呼吸の苦しさを訴えられる方がおられます。夜間に恐ろしい夢をみて、目が覚めた時に呼吸の苦しさを感じるということもありますが、病気が原因で呼吸が苦しくなるものもあり、注意が必要です。

突然、呼吸が苦しくなりましたが、このまま窒息してしまうのでしょうか?

 通常鼻と口を塞がれたり、首を絞めたりしない限り、突然窒息することはありません。しかし、場合によっては放置すると致命的になってしまう場合があります。例えば自然気胸では、肺が破れて空気が肺と胸郭の間に漏れて肺が急速に縮むことがあります。片方の肺がわずかに縮むだけなら苦しくてもすぐに命に関わることはありません。ただ、緊張性気胸といって、漏れた空気によって胸腔内の圧力が高まり、太い血管や心臓を圧迫して命に関わる緊急事態となることもあります。気胸の場合は、呼吸が苦しくなる前に胸が痛くなる、ぐっといきむ様な運動をした、などきっかけがあります。気管支喘息でも、重症発作の際は息が急に「ゼーゼー」して呼吸停止に陥ることがありますので、息切れがひどい場合には緊急の医療機関の受診を勧めます。

どのような病気があるのですか

 若い男性で胸が痛くなった後に呼吸が苦しくなった場合は自然気胸の可能性があります。また、女性では生理とともに起こる月経随伴性気胸や、肺リンパ脈管筋腫症とよばれる稀な病気でも気胸が起こります。喫煙歴のある高齢者男性でも肺気腫に伴う気胸がみられることがあります。
 アレルギーが関与するものとしては気管支喘息があります。気管支喘息は夜間~朝方にゼーゼーすることが多く、昼間に症状が軽くなるという特徴があります。気管支喘息の患者さんはアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などの病気を合併することも多く、診断をするうえで重要な情報になります。
 肺梗塞や肺塞栓症と呼ばれる疾患でも突然呼吸が苦しくなることがあります。心臓から肺へ血液を送る肺動脈と呼ばれる血管が詰まってしまう病気です。もともと足の静脈に血栓(血のかたまり)ができやすい人では、血栓が血液の流れに乗って心臓から肺に流れていき肺で詰まってしまうのです。中年から高齢者の女性で、立ち仕事をすることが多い人では、足の静脈の血液の流れが悪くなり、下肢に静脈瘤を作りやすくなります。静脈瘤では血が固まって、その塊が心臓から肺に流れ肺動脈が詰まってしまうことがあります。エコノミークラス症候群という病気に某有名サッカー選手が罹患して知られるようになりましたが、飛行機に長時間同じ姿勢で乗っていると下半身の静脈に血の塊ができやすくなり、それが席を立つことにより肺の血管まで流れていって詰まり、突然呼吸が苦しくなります。肺梗塞や肺塞栓と全く同じことが起こっているわけです。
 その他にも、心不全、胸膜炎、肺がんでも呼吸が苦しくなることがあります。

突然呼吸が苦しくなったらどうしたらいいですか?

 呼吸が苦しくても、意識もはっきりしていて歩けるようなら最寄りの医療機関を受診して下さい。急速に呼吸が苦しくなってくる、呼吸が苦しくて動けない、意識が朦朧とする(意識が遠のいていく)、脈が速くなって冷汗がある、などの症状があれば、周りの人に助けを求めるとともに、救急病院に搬送してもらう必要があります。
 呼吸はさほど苦しくないが激しい胸痛がある場合も、緊急に医療機関で診察を受ける必要があります。

どんな検査を受けなければなりませんか?

 呼吸が苦しくなる病気は幾つかあるので、これらを区別して適切な治療をするために、いくつかの検査が必要です。最初に、胸部エックス線、心電図検査、血液検査を行います。これらの検査で異常が疑われれば、肺機能検査、CT検査、血管造影検査など、さらに詳しい検査を行います。

治療はどのようにするのですか?

 呼吸が苦しくなった原因により治療法は異なります。気胸の場合は、胸腔ドレナージ術といって、空気が漏れた側の肋骨と肋骨の間からチューブのような管を入れて空気を抜きます。この処置で呼吸は楽になります。空気が漏れなくなればチューブを抜いて治療を終了しますが、いつまでも空気が漏れる場合や繰り返し気胸を起こす場合は、手術で肺の空気が漏れている部分を取り除く手術が行われます。最近は多くの病院で内視鏡を用いた手術が行われるようになり、傷口は小さく済むようになっています。入院期間は病状にもよりますが1~2週間程度が一般的です。
 肺梗塞や肺塞栓の場合は、酸素吸入で呼吸を楽にするとともに、詰まった血栓(血のかたまり)を溶かす薬を使います。ただし、時間が経っていたり血栓が大きかったりすると薬で溶かすことができなくなります。この場合は血栓を取り除く手術が行われます。高度な技術を要する手術のため、専門病院で治療を受けることになります。
 もし、原因が心筋梗塞や大動脈瘤破裂の場合で、呼吸が苦しいということは、心不全や急性循環不全という極めて危険な状態に至ることが多く、緊急手術が必要となります。入院期間も数週間にわたることになります。
 気管支喘息では、吸入ステロイド薬を連用し、効果が不十分な場合は気管支拡張薬などを併用します。発作が起こった時は気管支拡張薬を吸入したり、ステロイドの飲み薬を短期間使用します。これらで治まらない時や、最初から発作の程度が強い場合は、医療機関を受診し、点滴や酸素吸入が必要です。

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