Last Update:2017年2月3日

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呼吸器Q&A

Q12

夜間や早朝に呼吸が苦しくなります

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夜間や早朝に呼吸が苦しくなる

 呼吸が苦しいというのは、息切れと同じと考えて下さい。呼吸とは外界から酸素を取り入れ、二酸化炭素を外界に放出することです。肺から取り込まれた酸素は、体の隅々まで運ばれ、生命を維持しています。この大切な酸素が不足したり、二酸化炭素量が増加すると、様々なセンサーが感知し、息切れとして感じます(「坂道や階段を登る時、息が切れます」、「発作性に呼吸が苦しくなります」の項も参照してください)。夜間や早朝に呼吸が苦しくなると言うのは、睡眠中の自律神経、ホルモンの変化、体位などが関与していると考えられます。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、交感神経は頑張る神経で、血圧は上昇、心拍や呼吸数は増加します。一方、副交感神経は体をやすめる神経で、血圧は低下、心拍や呼吸数は減少、胃や腸の動きは活発になります。この2つの神経が、シーソーのようにバランスをとりながら、体を維持しています。また、ホルモンの分泌にも日内変動があるので、夜間や早朝の息切れをきたすこともあります。

夜間や早朝に呼吸が苦しくなる病気

1)気管支ぜんそく;気管支ぜんそくは、気道の慢性炎症があり、気道が狭くなったり、広がったりします。せき、たん、ぜんめい(ゼーゼーという音)、息切れなどの症状がありますが、これらの症状は夜間や早朝に出現することが多いです。副交感神経は気道を狭くし、交感神経は広げる方向に働くので、副交感神経が活発になる夜間や早朝に気道が狭くなり、息切れなどの症状が出やすくなります。また、体内で分泌されるステロイドホルモンが、夜間や早朝に減少することも関与しています。他にも、夜間や早朝に起こりやすい胃液の逆流や気温の低下が気管支狭窄に関わっていることも考えられています。
2)心不全;心不全とは、体に必要な血液量を心臓が送り出せない状態です。心臓のポンプとしての機能が低下してくると、肺から流れ込む血液を心臓が十分に受け取れなくなります。慢性的にこのような状態が続くと肺内に血液が停滞し気道にむくみが起こり、内腔が狭くなりやすくなります。立位や座位に比べて肺が低い位置になる寝た状態では、血液がさらに停滞し、むくみと共に気管支の狭窄も進むので、夜間に呼吸が苦しくなります。このような場合には、起きあがって座位になると肺のむくみがとれ症状が軽くなる傾向があります。心不全による夜間の息切れは、この体位の変化に加え、心臓の働きを低下させる副交感神経の活動が活発になることも関係しています。
3)慢性閉塞性肺疾患(COPD);COPDは、タバコの煙を吸入することで、慢性の炎症がおこり、細い気管支やその先にあるぶどうの房状の小さな袋である肺胞(はいほう)が破壊され、慢性のせき、たん、息切れをきたします。夜間はたんが出しにくく気管支内に貯留し、気管支が狭くなります。また、副交感神経の活動が亢進するので、さらに気管支が狭くなり、夜間に呼吸が苦しくなります。
4)閉塞性睡眠時無呼吸症候群;睡眠中に無呼吸が繰り返される病気で、良い睡眠がとれず、体に様々な障害を起こします。ノドの辺りの空気の通り道が閉塞することが原因で、その原因となるのは、首周りの脂肪の沈着、扁桃肥大、アデノイド、舌根沈下、舌が大きい(巨舌症)ことなどです。睡眠時にはノドの周辺の筋肉が緩み、空気の通り道が閉塞します。通常は日中の眠気などが主な症状ですが、ときに睡眠中の窒息感などの症状を起こすことがあります。

夜間や早朝に呼吸が苦しくなったらどうすればよいのか

 頻度が多いのは気管支ぜんそくなので、まず、呼吸器内科のある病院を受診して下さい。症状、呼吸機能検査(肺活量など調べる検査)、胸部エックス線、胸部CT、心電図、血液検査、動脈血ガス分析(血液中の酸素、二酸化炭素濃度を調べる検査)、などを参考にして病気の診断をします。診断がつけばそれに応じた治療を受けて下さい。

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